序章(2)



 ドアの窓越しに見えたのは、傷ついた彼女の姿。
 傷だらけで、さらに兵士によって傷つけられていたのに、その目には強い光が見えた。
 その瞳が、似ている。
 そう思った次の瞬間。
 もう行動に移していた。
 部屋のドアを開け、力なく吊るされていた彼女を静かに解放した。
 ゆっくりと地面に横たえると、その綺麗な顔に息をのんだ。
 俺は一体何をしているんだ?
 そして、彼女がゆっくりと目を開け、俺をじっと見る。
 俺を見るその目が、やはりどこか似ていた。
 あいつを思い出させるその瞳。
 思わず出そうになった言葉を飲み込んで、俺は彼女を連れ出した。
 こんなことをして、どうなるのかわからない。
 正直、ヤバイ気がする。
 でも、走り出したらもう止まれない。
 彼女と一緒に、サウスフィガロを抜け出した。




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