序章



 初めて逢ったのは、サウスフィガロの牢屋。
 兵士の眠っている隙に、あなたは私を助け出した。
 最初、商人の姿をしていたから変な奴だと思った。
 でも、私を帝国兵と知っていても助けたあなたは、やっぱり変で、不思議な人だった。
『なぜ私を助けた?』
 その問いに、静かに彼は答えた。
 似てるから。
 誰に?
 思っても言えないまま。私は外の世界へと出た。
 
 いつのまにあなたの存在がここまで大きくなってしまったのかわからない。
 でも、あなたが愛しくて愛しくて仕方がない。
 でも、あなたの目に私は映っていない?
 だから、私のこの気持ちは言えない。
 胸に、秘めたままで…………。



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